あくまでも「ブログ」。

「芸術、お金、仕事」のことを書いています。「ハッピー・ライティング」を目指します。

年次有給休暇|出勤率

年次有給休暇ひとつとっても、ややこしい問題にぶつかります。

休暇とは、労働義務のある労働日について労働者が使用者から就労義務の免除を得た日のことである。(『トップ・ミドルのための採用から退職までの法律知識』安西愈)

年次有給休暇の発生要件のひとつ「出勤率」

労働者の年次有給休暇権は、6カ月間継続勤務し全労働日の8割以上を出勤することによって当然に発生する。

  • 継続勤務:労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいう。継続勤務は否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべきもの。
  • 全労働日:本人と使用者との労働契約において勤務すべき日と契約して定めている日である「所定労働日」。

労働基準法第39条に書かれたパターンしか起こらなければ悩むこともありませんが、現実にはいろいろな状況が生じます。

たとえば、
長期間にわたって傷病手当金を受けていた労働者の出勤率の計算について。
労働基準法の年次有給休暇のあたりをざっと見渡すと、「業務上」については書いてありました。

業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

労働基準法第39条(年次有給休暇)は第8項まであり、以下の項で出勤率にふれています。

  • 第1項:全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、
  • 第2項:全労働日の8割未満である者にに対しては、
  • 第8項:第1項及び第2項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす

労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によって休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。(労働基準法第三十九条第八項)

第8項はいいところまできていました。
しかし「業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間」は「これを出勤したものとみなす」とあり、「業務外」にはふれていません。

業務災害以外の事由による疾病および負傷

今回例にあげた労働者は傷病手当金をうけていました。
傷病手当金は健康保険法の保険給付です。
健康保険法は業務災害以外の事由による疾病および負傷を保険事故の中心としています。

この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。(健康保険法 第一条)

傷病手当金の支給要件は「療養のため労務不能+待期3日間(連続)を満たす」。
支給期間は「支給を始めた日から起算して1年6ヵ月の期間」。

長期間にわたって傷病手当金をうけていた労働者は、長期間にわたって労働不能、長期間にわたって「欠勤、休職」をしていました。

休業と休職

「休業」という言葉は労働基準法第39条の中に見かけるのですが、「休職」という言葉は見かけません。
そう思っていると、厚生労働省労働基準局編にかかる『労働基準法解釈総覧[改訂15版]』の解釈例規にひとつの通達を見かけました。

【長期間休業中の場合の年次有給休暇】
問 長期休業中の労働者の年次有給休暇の行使に関し、左記のとおり取扱つてよいか。
(一)略
(二)休職発令により従来配属されていた所属を離れ、以後は単に会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は、年次有給休暇請求権の行使ができないと解する。(昭三一・二・一三基収四八九号)
答 (一)、(二)とも貴見のとおり

※基収=労働基準局長が疑義に答えて発する通達

この通達から休職者は労働の義務が免除されていることがわかります。
また、この通達を引用し、さらに文章を付け加えている文章を見かけました。

なお、休職期間については、労働義務の免除されている期間であるから「休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は、年次有給休暇請求権の行使ができない」(昭三一・二・一三基収四八九号)とされているので、病気欠勤中は「欠勤」であっても休職処分となると全労働日・出勤日の分母・分子の双方から除外される。(『トップ・ミドルのための採用から退職までの法律知識』安西愈)

長期間にわたって傷病手当金を受けていた労働者の出勤率の計算

休職発令(処分)かどうかの確認をする。
休職発令(処分)の期間は、全労働日・出勤日の分母・分子の双方から除外する。

出勤とみなされるか、全労働日に入るか

  • 裁判員休暇:除外(計算から除外される)
  • 休職期間中:除外
  • 代替休暇日:除外
  • 会社休暇日:自由(会社の自由な定めによる)
  • 生理休暇日:自由
  • 年次休暇日:算入
  • 休日労働日:除外
  • ストライキの日:除外
  • 経営障害等休業日:除外
  • 使用者有責休業日:算入
  • 産前・産後休業:算入
  • 看護・介護休暇日:算入
  • 育児・介護休業日:算入
  • 業務上災害休業日:算入