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給与明細は謎だらけ|三木義一

年末調整:所得税計算の仕組み(所得税法)

所得税は、個人が1年間(暦年)に得た所得に対してかかる税金です。

会社が年末調整をする。会社が税務署の代わりをしています。
サラリーマンが会社に年末調整をしてもらう。個人情報の多くを会社に知らせる必要があります(配偶者の有無、その年齢、扶養者との関係、家族構成など)。

給与所得者の場合の所得税計算の仕組みは、以下のようになっています。

工程1.給与収入(1/1~12/31、年間収入)―給与所得控除(事業所得者の必要経費に相当)=給与所得の金額

サラリーマンは、仕事のために支出したものがあっても、必要経費として控除することができません。その代わりに「給与所得控除(所得税法)」があります。最低65万円保障。年末調整の場合には「年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を適用します。
No.1410 給与所得控除|税について調べる|国税庁

工程2.給与所得の金額(総所得金額)―所得控除(担税力)=課税所得の金額(課税ベース)

所得税は所得を得た人の人的事情を配慮し、いろいろな支出を「総所得金額」がら控除できるようにしています。この「所得控除額」が増えると課税される所得(課税総所得金額)が減ります。以下は代表的な所得控除です。
所得金額から差し引かれる金額(所得控除)|所得税|国税庁

基礎控除38万円

最低生活費を配慮するための所得控除。すべての納税者に影響があるので、引き上げると減収につながるため、国はなかなか手をつけません。
No.1199 基礎控除|所得税|国税庁

配偶者控除38、48万円(1961年に扶養控除から独立)、配偶者特別控除38万円(1987年に消失控除方式を導入)

配偶者控除のみ70歳以上の人は「老人控除対象配偶者」となり、48万円。

会社の家族手当(収入103万円の壁)との兼ね合いで、配偶者特別控除(所得75万円、収入140万円)があまり役に立っていないという現象が起こっています。配偶者控除は年末調整をした約4000万人のうち約1000万人(約25%)が利用。配偶者特別控除は約80万人(約2%)の利用。
No.1191 配偶者控除|所得税|国税庁
No.1195 配偶者特別控除|所得税|国税庁

平成29年度の税制改正で、配偶者控除及び配偶者特別控除が見直しされています。
配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて|国税庁

扶養控除38、63、48、58万円(12月31日現在の年齢が満16歳以上の人)

一般の控除対象扶養親族は38万円。

  • ①配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)か都道府県知事から養育を委託された児童(里子)
  • ②納税者と生計を一(財布は一つ)
  • ③その子の年間の合計所得金額が38万円以下(収入金額ではない)
  • ④親が事業をやっている場合の例外(専業従事者でないこと)

上記4つに該当すること。

特定扶養親族は63万円(年齢19歳以上23歳未満の人)。老人扶養親族は48万円(年齢70歳以上の人)。老人扶養親族のうち一定条件(続柄・居住)の人は58万円になります。
No.1180 扶養控除|所得税|国税庁

また、合計所得65万円までの学生には「勤労学生控除27万円」という控除が適用されます(27万円(勤労学生控除)+38万円(基礎控除)=65万円。課税所得が0円になります)。
No.1175 勤労学生控除|所得税|国税庁

障害者控除]27万、特定障害者控除40万、同居特別障害者控除75万

以下参照。
No.1160 障害者控除|所得税|国税庁

医療費控除(※年末調整なし)

10万円を超えた医療費分。自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費。医療費の支出を証明する書類と給与所得の源泉徴収票(原本)が必要。年末調整なし。確定申告が必要。
No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|所得税|国税庁

保険料控除①「社会保険料」

1年間の社会保険料の支払い額全額が所得控除として控除。生計一も対象。
No.1130 社会保険料控除|所得税|国税庁

保険料控除②「生命保険料」

保険金の受取人を自分・配偶者・自己の親族に限定。個人年金保険も対象。年金の支払いを受けるまでに10年以上保険料を払うもので、原則として満60歳になってから支給される年金等。上限は生命保険5万、個人年金保険5万、合計10万。
No.1140 生命保険料控除|所得税|国税庁

保険料控除③「地震保険料」

自分や配偶者その他の親族が所有している居住用家屋について、地震、噴火または津波を原因とする火災、損壊等による損害を補填する保険金や共済金が対象。上限5万円。
No.1145 地震保険料控除|所得税|国税庁

寄付金控除

国、地方公共団体、学校法人、社会福祉法人への寄付のうち、財務大臣が指定したものについては、寄付金額から5,000円を引いた金額を所得から控除できる。上限は総所得金額の40%。
No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|所得税|国税庁

寡婦・寡夫控除27、35万円

寡婦の場合扶養親族がいれば、所得に制限なし。扶養親族がいなければ、所得500万以下の場合に適用。
寡夫の場合は、生計を一にする子があり、かつ、所得が500万以下の人。
No.1170 寡婦控除|所得税|国税庁
No.1172 寡夫控除|所得税|国税庁

地震・盗難・火事などにあったときの控除(雑損控除)

以下参照。
No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|所得税|国税庁

工程3.課税所得の金額(一番関心のある金額)×所得税率(超過累進税率)=算出税額

以下参照。
No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

工程4.算出税額―税額控除=年調所得税額×102.1%(復興特別所得税を含める)=年調年税額(納付税額)

住宅ローンの利息分を税金から控除してくれる「住宅借入金等特別税額控除制度」。住宅を取得した初年度に確定申告をし、2年目から年末調整で控除。
No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)|所得税|国税庁
復興特別所得税関係(源泉徴収関係)|源泉所得税関係|国税庁

負担すべき一年間の所得税額がわかる。企業は年末調整(従業員の1年間の給与を合計して、源泉徴収額を精算する制度)ができる。

工程5.年末調整で処理できないものは、自ら確定申告をして調整する。

しょとくぜい【所得税】一年間の個人の所得に課せられる、国の直接税。(角川必携国語辞典)
ねんまつちょうせい【年末調整】前もって給料からさし引かれた所得税を、年末に計算しなおして、過不足を精算すること。(同上)

毎月の給与から源泉徴収された税額、源泉控除された保険料額

所得税の源泉徴収額、賞与の源泉徴収額、住民税の源泉徴収額、社会保険料の源泉控除額、雇用保険料の源泉控除額の確認の仕方が書いてありました。

源泉徴収額の確認(税金の源泉徴収)

1.課税対象額(基本給+手当(通勤手当のみを除く)―勤怠控除―社会保険料)

  • 課税対象額が基礎になる。

2.扶養している家族の数

  • 配偶者控除や扶養控除等の対象になる子どもたちの数(一定金額までしか得ていない人たちが対象。「給与所得の源泉徴収月額表」はインターネットで公開)

平成29年分 源泉徴収税額表|パンフレット・手引き|国税庁

日本の源泉徴収制度と世界の大半の国々の源泉徴収制度

源泉徴収義務は会社独自の義務ですが、給与における日本の源泉徴収制度は年末調整と密接に関連し、精緻な制度になっているそうです。
世界の大半の国々では、源泉徴収義務者の会社は、概算で源泉徴収した税額を納付するだけで、後は各自で申告、精算。

げんせんちょうしゅう【源泉徴収】所得税の課税方法の一つ。給料や利子収入などに対する税金を、しはらい者が前もって所得からさし引いてとりたてる方法。源泉課税。(同上)

賞与の源泉徴収(税金の源泉徴収)

賞与が支給される前月の給与額から社会保険料を控除した金額を基準に、賞与額から社会保険料を控除した金額に適用する税率を決める。

  • 賞与が支給される前月の給与額から社会保険料を控除した金額とは、課税対象額のことでしょうか。ここに扶養親族の数を考慮し、税率が決まります(「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使用します)。

平成29年分 源泉徴収税額表|パンフレット・手引き|国税庁

住民税(税金の源泉徴収)

住民税の税率は一律に都道府県民税4%、市区町村民税6%の合計10%。住民税は賞与からは徴収されない。住民税は前年度の所得について課税される。
自治体から会社を通じて「特別徴収税額通知書」が5月の給与明細の中に入れられます。この通知された税額が6月から翌5月まで、毎月の給与から天引きして徴収されます(特別徴収)。

社会保険料の確認(保険料の源泉控除)

健康保険、介護保険、厚生年金保険の徴収額の正誤を調べるのは容易ではないと書いています。理由として、保険料率の毎年引き上げ(業種により異なる)。事業主と折半。保険料率を標準報酬月額(4月から6月までの3カ月間の月給の平均額を1万円単位にした数字)に掛ける。保険料算定の基礎となる報酬は、所得税の給与よりもさらに広い。所得税では非課税だった通勤手当や、4000円以下の宿直料等も報酬に含まれて計算される。
平成29年度保険料額表 | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

雇用保険料の確認(保険料の源泉控除)

雇用保険料はその月の総支給額に雇用保険料率のうち、一般のサラリーマンは被保険者負担率を掛けます(失業対策の保険として合理的な理由はありませんが、通勤手当を含みます)。
雇用保険料率について |厚生労働省


この著者の説明はわかりやすいですが、2009年初版ですので、だいぶ法改正されていました。8年前の本とも思っていませんでしたし、法改正が頻繁に行われているとも思っていませんでしたので、ふむふむと呑気に読んでいました。仕方がないのでいいようにとらえます。

本著で基本的な考え方を把握してから、最新の国税庁「年末調整のしかた」という手引(パンフレット)を参考にすれば、書いてあることも理解しやすかったです。いい本ですので岩波新書『日本の税金』のように新版を書いていただけたらと勝手に――。