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カリオストロ伯爵夫人|モーリス・ルブラン

宮崎駿氏の『カリオストロの城』の関連書物として手にしました。

1.翻訳者:物語と読者をつなぐ橋

原文のフランス語では読めませんので、日本語に翻訳されたものを読みます。竹西英夫氏の翻訳を選びました。読みやすい翻訳でした。

偕成社は、児童書出版社みたいです。
www.kaiseisha.co.jp

2.児童書に対する「大人」の偏見

偏見【へんけん】公平でない、片寄った見かたや考えかた。(角川必携国語辞典)

モーリス・ルブラン「アルセーヌ・ルパン」シリーズは、児童向けにリライトされた本があります。そして、「児童書になっている」という理由だけで、大人が読んでもおもしろくない本だと勝手に決めつけていました。

ポプラ文庫クラシック、講談社青い鳥文庫、岩波少年文庫、角川つばさ文庫、集英社・子どものための世界文学の森、だけでなく、すべてのアルセーヌ・ルパンを。

少なくとも、今回の『カリオストロ伯爵夫人』は、大人が読んでいる本よりも簡単な内容ではありませんでした。現代の「大人」がベストセラーさせている本と比べても、おそらく、歴史的にも、人間的にも、芸術的にも、より豊かな可能性があります。

3.魅力的なキャラクター、アルセーヌ・ルパン

冷静で、意志が強く、行動する男。

ボクシングの達人、グレコ・ローマ・スタイルのレスリングの大家、日本流武術まで――。

ルパンは父方の名です。

父はテオフラスト・ルパン、ボクシングの教師、詐欺師。母方の名は、ラウール・ダンドレジー。貴族の証「ド」がついています。

4.カリオストロ

タイトルの「カリオストロ」は、アレクサンドロ・ディ・カリオストロ(ジュゼッペ・バルサーモ)氏のものです。カリオストロ伯爵夫人は、ジョセフィーヌ・バルサモと名乗っています。

5.リアリズム小説家たちの影響

モーリス・ルブラン氏は、オノレ・ド・バルザック氏やギュスターヴ・フローベール氏から影響を受けたそうです。物語の土台に歴史があります。人間の心理に通じています。エキサイティングです。

6.コメディアンや学者にも通じる能力

ラウール・ダンドレジーは、“チャーリー”サー・チャールズ・スペンサー・チャップリン氏やピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏のような発言をしていました。

ほんのちょっとの勇気と、はっきりした頭脳と、論理と、目的に向かって矢のようにまっすぐに突進する意志さえあれば、障害はむこうのほうからくずれてくれる。

ひとりぼっちほど、なさけないものはない。組織の首領だけが、目的に達することができるのだ。

7.二人のクラリス

『カリオストロの城』であれほど魅力的だった「クラリス」・ド・カリオストロ。『カリオストロ伯爵夫人』の「クラリス」・デティーグは、あまりぱっとしません。ちがった角度から見ると、リアリティを多くふくんでいるように思いました。

おなじ名前でも、架空性の度合いも違えば、魅力も異なっています。

わたしには、はじめての「アルセーヌ・ルパン」シリーズでした。他の作品も読みたくなりました。

フランスにはいい文学がたくさんあります。

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