先日、記事にも書いたように、書斎、もしくは、ホームオフィスで使う椅子をさがしているのですが、あれこれ悩みぬいたあげく、飛騨の家具館に行くことにしました。
数日前までは、機能的なオフィスチェアを検討していたのですが、だんだんと、自分の部屋には木製の椅子を置きたいという思いが強くなっていき、ついには、ロボットのようなオフィスチェアを追い求めることをやめました。ぼんやりとですが、ひっかかっていたのだと思います。
本と木製の家具の他にはノートパソコンとプリンタくらいしか置いてないわたしの素朴な部屋に、テカテカ光った、今にもトランスフォームしそうな高機能なオフィスチェアが、しっくりくるようには思えませんでした。いくら心身への負担が軽くなったとしても、自分が不自然に思うものを部屋に置いていると、あたらしい負担を背負うことになりそうな気がしたので、ここはもうすこしふんばって、木製のしっくりくる椅子をさがそうと思い、たどり着いたのが、今回訪れた「飛騨の家具館」でした。
飛騨の家具館、飛騨産業の家具を見に行こうと思ったのは、源氏物語のなかに「飛騨の工」というような言葉がでてきていたような気がしたからです。源氏物語、紫式部が好きなわたしは、それだけのことでも、日本の伝統と関りをもてたような気になれます。とはいっても、目的から離れているわけではなく、それほどの技術をもっている老舗の家具メーカーであれば、わたしの期待にもこたえる椅子がある可能性も大きいと思いました。
御堂筋線の淀屋橋駅からぶらぶらと歩いて、淀屋橋を渡り、大江橋を渡り、両側に立派な建物をながめ、おいしそうなイタリアンやら食堂っぽいお店を通りすぎ、なかなかいい土地だなとか思っていると、アクア堂島東館についていました。
試座させていただこうと思っていた椅子のうち第一候補は「腰にやさしい椅子」シリーズでしたが、素人のわたしが勝手気ままにウェブで拾い集めた情報だけをもとに気になった椅子を先に相手へ伝えるよりも、なるべく白紙の状態からプロのアドバイスをもらう方がいいと思ったので、シンプルに質問というか、希望を伝えました。
「長い時間、デスクワークをすることが多いのですが、なにか、おすすめの椅子はあるでしょうか?」
このわたしの一言から、従業員の方は、ひとつの椅子を紹介してくださいました。そして、その椅子を、わたしは買いました。すすめられるがままに買ったわけではなくて、ショールームに展示してあるほとんどの椅子に座り、気になることがあれば質問をし、わたしの質問の的が外れていれば、それとなくプロ目線の説明をしていただき、手ざわりや肌ざわり、座りごこちなどを、2時間ほど堪能してから、最終的に判断しました。
購入したのはこちらの学机と合わせてあった椅子で、買うと決めてから気がついたのですが、机の名前が「そうせき」で、椅子の名前は「そうせきチェア」と書かれていました。わたしは紫式部の次に、近松門左衛門と夏目漱石が好きですので、ここでも思わぬつながりを勝手に感じてしまい、この椅子への思いが、ますます深まりました。
この「学机そうせき」は、「きつつきの机」シリーズの最上級モデルだそうで、「きつつきの机」とは、きつつきのロゴの横に、
安心・安全 ずっと使えるきつつきのつくえ
と書いてありますので、そういったコンセプトのもとにつくられているものだと思います。
ショールームにいた時間の多くは、この「そうせきチェア」と「腰にやさしい椅子:スライド&ロールタイプ」の座りごこちを試していました。せいぜい数十分~小一時間程度のことですので、実際に家に届いてから、長い期間つかいこんでから、また感想なりを書かせていただきます。
短時間で感じたことは、「そうせきチェア」の座面高の調節機能が無限の可能性をもっているということと、ほとんどの商品の手ざわりが衝撃的になめらかだったことと、これまで座ったことのある椅子にはなかった「ざぐり」という技術の奥深さです。
椅子を椅子としかみていなかったこれまでとはちがい、椅子というひとつの家具にも無限の工夫ができるということに、気がつけるように仕向けてくれました。
飛騨高山にも、行ってみたくなりました。