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すでに起こった未来 変化を読む目|ピーター・ファーディナンド・ドラッカー

引っ越しのついでに買ったまま読めていない本を整理しようと思い、一冊の本を手にしました。

1.ケインズの才気とシュンペーターの叡知

すでに起こった未来―変化を読む眼」という本です。ピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏が1946年―1992年に書いた論文を収録しています。

経済学についてまったくわからないわたしでも、20世紀の偉大な経済学者のことを、ざっくりとわかった気になれました。経済学の流れや、その他の経済学者のことについても、大まかな位置づけを知ることができます。

また、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏が、ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター氏の影響をもろに受けたということも、しっかりと伝わってくる論文です。そして、ジョン・メイナード・ケインズ氏と、ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター氏の特徴を、短文で表現します。

才気は日々を手にする。しかし、叡知は不朽である。

2.ケインズの才気の末路

続く5章「ケインズ――魔法のシステムとしての経済学」で、ジョン・メイナード・ケインズ氏の評価を、さらに別の視点から固定させます。

本当のところ、ケインズは、経済理論の進歩を後戻りさせたとさえ言えるかもしれない。彼が経済学の世界で圧倒的な力をもつ前に、すでに、第一次世界大戦中に書かれたフランク・ナイト(アメリカの経済学者、一八八五~一九七二年)の『危険、不確実性および利益』や、シュンペーターの『経済発展の理論』があった。

3.キルケゴールの影響

章題になっているセーレン・オービエ・キェルケゴール氏の本を一冊も読んだことがないわたしですが、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏が自身の著書へ、セーレン・オービエ・キェルケゴール氏を登場させ、その登場のさせ方を読んでいると、ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター氏とかわらないほどに、影響をうけたことが伝わってきます。

したがって私は、キルケゴールの名作『おそれとおののき』に、たまたまというよりは神に導かれて出会ったとき、どのような心の準備もできていなかった。

この論文は1949年に発表されているにもかかわらず、今なお、ある心理学者やある哲学者に口にされている、臨床や科学についての考え方が、書かれています。具体的に2つほど、引用しておきます。

死は、普遍化することができず、個別的たらざるをえない唯一の問題である。社会化できず、個人的たらざるをえない唯一の事実である。

あらゆる人間が突然、死に直面していることを認識する。そしてそのとき、あらゆる人間が孤独な個となる。もし、彼の実存が社会のなかにしかなければ、途方に暮れるだけである。なぜならば、社会における実存は無意味だからである。キルケゴールは、この現象を診断して、「個であろうとしないがゆえの絶望」と呼んだ。

19世紀から20世紀にかけて、それよりも昔には見えていたものが、一時的に見えなくなっていたという印象をうけます。また、以前に記事に書いたジョージ・オーウェル氏の著作が思い浮かびます。
akumademo.hatenablog.com

4.社会生態学

続く終章では、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏は、自分を定義しました。

私は「社会生態学者」だと思っている。ちょうど、自然生態学者が生物の環境を研究するように、私は、人間によってつくられた人間の環境に関心をもつ。

社会生態学を一つの体系としてとらえていて、系譜として数人の名前をあげています。

●フランス:アレクシス・ド・トクビル、ベルトラン・ド・ジュブネル
●ドイツ :フェルディナンド・テニエス、ゲオルグ・ジンメル
●アメリカ:ヘンリー・アダムス、ジョン・R・コモンズ、ソースタイン・ベブレン
●イギリス:ウォルター・バジョット

5.過去の作品の案内

これまでに発表した25冊の著作について、ざっくりと案内をしてくれています。ピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏の本を、どこから手をつけようかと悩んでいる人には助かる文章です。

論文をのぞけば、デビュー作から年代順に読んでいるので、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏が単なる「マネジメントの人」ではなく、若い時には政治の人として登場し、社会の理想を求め続けているうちに現代社会の構造に気がつき、社会にもっとも大きな影響を与えるだろう企業などの組織に目を向け、そこで必要とされるマネジメントを研究し――

というように、一人の人間の頭のなかで、どのような流れが生まれ、どのようにして今につながってきたのか、ということを知ることで、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏に対する偏見もあらいながされ、より関心が深まりまったこともありますので、発表された順番に読むことを、わたしはおすすめします。

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