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うつほ物語|室城秀之編

河合隼雄氏の本を読んでいるうちに、日本の古典に興味をもつようになり、「源氏物語」をはじめ、ひとつひとつ読んでいるところです。そして今回は「うつほ物語」という、紫式部も読んでいたといわれている平安時代の王朝物語を、すこし体験してみました。


古典を少しずつ読んでいますが、わたしには、まだまだ原文を読む力はありません。しかし日本はすごい国ですので、素人がすこしずつ理解をしていけるものが、たんさん準備されています。

今回、まずはじめにわたしが手にしたのは、うつほ物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)といって、日本の古典の入門書をいろいろとりそろえているシリーズのなかの一冊にあたります。編者の室城秀之氏によれば、物語全体のストーリーをわかることに主眼をおいたそうです。

実際によんでみると、いろいろな工夫がされていて、たしかにストーリーがささっとわかります。具体的には、

1.物語から50ほどの場面を選び、
2.現代語訳と原文をあげ、
3.その前後に、ストーリーの展開がわかるように、簡単な説明と解説をつけている

とまあ、こんな感じの超親切に仕上げられています。

小学館の新編日本古典文学全集 (14) うつほ物語(1)では全三巻になっているので、細かなところ以上のところをすっとばしているのだと思いますが、わたしの古典に対するこれまでのセンスと忍耐力を鑑みると、大ざっぱに物語の全体を理解したうえで、細かなところを味わうようにしないと、「源氏物語」のときとおなじような失敗が目に見えています。

うつほ物語の好きなところは、音楽や楽器が、物語に大きな影響を与えているところです。ひとつひとつに風情のある名前のつけられた楽器と、その演奏者の浮世離れした技術なしでは、うつほ物語は成立できません。音楽、楽器好きのひとりとして、この物語の漫画のようなの非現実的な想像力は、よんでいて、こども心が興奮し、また、清々しいものでした。

嘘で感動を呼び起こし、感動した人間が現実の世界を動かすとすれば、この嘘(芸術)には、現実を動かす力が、間接的には存在していることになります。わたしは、こういったスタンスの芸術がけっこう好きです。

こんなふうに叫んでいる現代の詩人もいます。

意味のない想像も君を成す原動力 全身全霊をくれよ


この歌をきいたとき、やっぱり芸術家はこういうことをしっかりわかっている、大切にしている、そして、そういった気持ちをしっかりと持ちつづけることができるんだなと思いました。

うつほ物語の作者ももちろん(作者は不明ですが)、こんな長編を書きあげるあいだじゅう、ひょっとしたら死ぬまでずっと、こういった想像力を大切にして、現実と非現実を行き来しながら、ゆたかな毎日をすごしていたんじゃないかとか、勝手に妄想しています。