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新賢明なる投資家上下|ベンジャミン・グレアム他

初版は1949年。改訂版は現代に合わせた注解付き

金融ジャーナリストのジェイソン・ツバイク氏が最近の出来事を例にあげ、グレアムの理論が現代でも有効だと検証しています。しかし、改訂版のジェイソン・ツバイクの注解は、一度目を通しておきたいという程度のものでした。その後は、ベンジャミン・グレアム氏の言葉や投資原則が印刷されている本文しか読んでいません。

ウォーレン・バフェット氏とジェイソン・ツバイク氏の序文があります。そこにベンジャミン・グレアム氏(1894~1976)の核となる原則が書かれています。読むと心が静まります。

ドル・コスト平均法

ベンジャミン・グレアム氏も以下のような理由からドル・コスト平均法の利用をすすめています。

  • 市場価格がより安い時により多くの株式を買える
  • 保有株式の平均価格が満足できる
  • 規則的に、画一的に株を買うことが、貯蓄投資計画の健全な手段として受け入れることができる

しかし、警告も忘れません。

後述のドルコスト平均法を一定期間にわたって着実に実行してきた投資家は、その定期的投資法を続行するか、あるいは市場水準がもう危険な域を脱したと思えるときが来るまで、それを休止するのか、論理的にはどちらを選んでもよいであろう。ただし一九六四年末のような相場の水準のときに、決して新たにドル平均法を始めるべきではない。

ベンジャミン・グレアム氏の言葉

『賢明なる投資家』に書かれていることは、その後の投資関連の本にもよく書かれています。以前記事にした山崎元氏バートン・マルキール氏の作品にも、ベンジャミン・グレアム氏の考えが至る所に散らばっているように思います。源流を押さえてしまえば、その後の枝葉のような情報を必要に応じて取得するだけで済ませることができます。

投資は人間の行動なので、心を揺らす出来事が起こったり、冷静さを欠いたりした場合には、誤った判断をするということも強調しています。
上巻の中で、わたしの胸に響いた言葉を紹介します。

いつでもだれもが、市場リスクまたは「相場上」損失を負わない価格になるまで待って買うようなことはできないということである。いつでも、投資家は自分の保有株には投機的な要因があることを認識していなければならない。この要素を最小限に抑えると共に、いつやってくるか分からない来たるべき逆境に対して、財政的そして心理的に備えるのが投資家の仕事である。

上巻と下巻

はっきりとそうなっているわけではありませんが、下巻は上巻よりも具体的な話だったり、テクニカルな話が多いように思いました。
また、下巻でもフランスの神学者パスカルの言葉を借りて、心の重要さを強調しています。

「心情は理性の知らない、それ自身の理性をもっている」と、かつてパスカルは言った。

ベンジャミン・グレアム氏の趣味

投資に参加するにあたって、頭のかたすみには置いておくべき、基本のすべてが書かれている本だと思いました。
著者の落ち着いた思考の流れのファンになってしまったわたしは、著者が好んだものを、ゆくりと体験してみたいという気持ちになってしまいました。

最も教養豊かな投資家であるグレアムが好んでいたのは、ホメロスやイギリスの詩人アルフレッド・テニソン、ダンテの詩で歌われるユリシーズの物語である。晩年のグレアムはダンテの『神曲・地獄篇』を味わっていた。

シェイクスピアやゲーテ、スペイン文学(ペドロ・カルデロン・デ・ラ・バルカ)も好きだったみたいです。

あるシェークスピア戯曲のなかで驚くほどこのことと状況が符合する台詞を最近見つけたので、かなり誇張された表現かもしれませんが、ここでどうしても引用したいと思います。「高い家賃を払って身代を食いつぶし、それで満足している間借り人など、ゴロゴロいるではないか?」

この一冊(上下巻)を大切にして、きちんと読みこんでおけば、ほかの本はあまり必要がないかもしれません。
数年ごとに版を重ねていくような本を書くことのできる著者の言葉は、多くの場合、厳しいけれども、真理のようなものを含んでいるように思います。

お金カテゴリ

資産運用に関する本はたくさんあり、いろいろな本と出会うなかで、気がむいたものはなるべく読むようにしています。そうした読書のなかで、投資の世界での最重要人物たちにも出会い、限りある未来を費やす価値のある本も、少しずつわかってきたような気がします。
自分の部屋の限りある空間に、いつまでも所有しておきたいと思った本を、お金カテゴリに追加していきたいと思っています。

本著を読むと、インデックス・ファンドのありがたみがよくわかりました。だれでも分散投資の恩恵に与ることのできる時代です。
資産運用の結果とは、価格と価値に対する自分の判断の結果だということがわかりました。このふたつの変数を大切にします。